仏教13宗派の特徴と教えをわかりやすく簡単に解説【宗派一覧】

現在日本には数多くの宗教団体があり、仏教だけに限定しても数多くの宗派に枝分かれしています。

宗教の宗とは「中心の教え」「根本の教え」という意味があり、同じ仏教というくくりの中ですが、それぞれの宗派によって「中心となる教え」が違ってきます。

「中心の教え」は、それぞれの教団が拠り所としている経典類に説かれる内容を指しますが、その教えの解釈によっても宗派が分かれたりします。

仏教には「8万4000千の法門」というように悟りへ至る道がたくさんあり、長い歴史の中で、「自分はどの道を信じるか?」によって宗派が数多く分かれてきました。

選択肢がたくさんあるのは良いことかもしれませんが、逆にたくさんありすぎて、一般の方は違いがよく分からないという方も多いんじゃないでしょうか。

そこで本記事では、一般の方にもわかりやすいよう、現役のお坊さんが日本の代表的な宗派の特徴をなるべく簡単にまとめました。

この記事で解決する疑問
  • 仏教各宗派の特徴の違いが知りたい
  • 仏教各宗派の教えの違いが知りたい
  • 仏教の代表的な宗派はいくつあるの?

本記事を読んでいただければ、各宗派のおおまかな特徴は掴めると思います。

宗派が数多くあるということは、それぞれの宗派によっても解釈の違いがあるということです。この記事ではごく簡単にまとめているだけなので異論を唱える人もいると思います。あくまで参考程度にとどめ、詳細はそれぞれの宗派の僧侶に聞くことをオススメします。

仏教各宗派の分類

現在の日本の仏教は、『宗教年鑑』によると、大きく分けて13宗ありますが、教えの系統別に6種類にまとめることができます。

サクッと見たい方は、確認したい宗派のリンクをクリックしてください。

開祖 代表的な寺院
天台系 天台宗 最澄 比叡山延暦寺
真言系 真言宗 空海 高野山金剛峯寺
法華系 日蓮宗 日蓮 久遠寺

浄土系

浄土宗 法然 知恩院
浄土真宗 親鸞

西本願寺/東本願寺

融通念仏宗 良忍 大念仏寺
時宗 智真 清浄光寺
禅系 臨済宗 栄西 妙心寺
曹洞宗 道元 永平寺/總持寺
黄檗宗 隠元 萬福寺
奈良仏教系 法相宗 薬師寺
律宗 鑑真 唐招提寺
華厳宗 杜順 東大寺

天台系

天台宗

  • 開祖:最澄(767~833)
  • 総本山:比叡山延暦寺
  • 本尊:釈迦牟尼仏
  • 経典:『法華経』
  • 公式HP(天台宗)

日本の天台宗の開祖は最澄ですが、天台宗の教えはもともと中国で発展した天台教学を元にしています。

中国に渡り天台教学を学んだ最澄が、日本に伝え、独自の発展を遂げたものが現在の日本の天台宗です。

その教えの根本には『法華経』があり、すべての人が仏になる素質を持っていると説くことを始め、実践行などのいわゆる修行も盛んに行われている宗派です。

一般の方がイメージする修行は、この天台宗の修行のことを指していることが多いです。

特に天台宗の修行は厳しいことが有名で、テレビでよく取り上げられている山々を巡ったり、籠ったりする先日回峰行や籠山行は天台宗が行っているものです。

総本山である、比叡山延暦寺も非常に有名ですね。

学校の教科書にも出てくるので、名前くらいは聞いたことがある人も多いんじゃないでしょうか。

様々な宗派の開祖が比叡山延暦寺で天台教学を学んだことから、現在の日本仏教の基礎にもなっているとよく言われます。

真言系

真言宗

真言宗も天台宗と同じように、空海が大乗仏教の密教を中国から日本に伝えたのが始まりです。

密教とは秘密の教えということで、師匠から弟子へのみ厳しい基準を持って伝えられる教えのことを表します。

特に真言宗では、真言(マントラ)や陀羅尼(だらに)を重視しています。

真言とは「真実の言葉」という意味で、陀羅尼は簡単に言えば真言の長いバージョンです。

真言や陀羅尼には不思議な力があると考えられており、となえることで功徳があると信じられています。

本山は関東で有名な高野山にあり、多くの観光客で賑わっていますね。

ちなみに、有名な四国八十八箇所を巡るお遍路は、真言宗の開祖である空海が仏道修行したお寺を巡るものです。

また、教えの根本が説かれるお経は『大日経』『金剛頂経』ですが、一般の法要では『 般若理趣経』『般若心経』『観音経』も読まれます。

法華系

日蓮宗

  • 開祖:日蓮(1222~1282)
  • 総本山:久遠寺
  • 本尊:十界曼荼羅
  • 経典:『法華経』
  • 公式HP(日蓮宗)

「南無妙法蓮華経」とお題目をとなえるのが日蓮宗の特徴です。開祖である日蓮が、清澄寺で「南無妙法蓮華経」と唱えたのが日蓮宗の始まりと言われています。

日蓮宗では、『法華経』こそがブッダが悟った真実のすべてが説かれていると考えています。

そして、『法華経』のお題目(=タイトル)は、単にタイトルなのではなく、ブッダの悟りそのものであると説いています。

日蓮宗では、何よりも『法華経』のお題目をとなえることを大切にしています。

『法華経』のお題目をとなえることを何よりも大切にしているので、元々は法華宗と呼ばれていました。

しかし、天台宗から異論等が出たため、その後日蓮宗と呼ばれるようになったという経緯があります。

浄土系

浄土宗

  • 開祖:法然(1133~1212)
  • 総本山:知恩院
  • 本尊:阿弥陀如来
  • 経典:『無量寿経』『観無量寿経』『阿弥陀経』
  • 公式HP(浄土宗)

開祖である法然が生きた鎌倉時代になると、仏教の修行方法が正しく伝わらず、悟りを得る人出てこないという末法と呼ばれる時代に突入していました。

末法の時代では、たとえ修行を行っても悟りを得ることができないし、そもそも一般人では厳しい修行を行えないため、ただ念仏をとなえなさいと勧めたのが始まりです。

浄土宗は、『無量寿経』に説かれる阿弥陀仏の本願を信じ、阿弥陀仏の名をとなえることで西方極楽浄土に往生できると説いています。

ただ念仏だけとなえれば良いという専修念仏の教えが特徴的で、そのほかの行を否定しています。

浄土系の仏教が出てくるまでは、貴族が中心となって仏教を信仰しており、あまり民衆には広まっていなかったと言われています。

しかし、浄土宗の教えでは、念仏さえとなえれば救われることができると説かれているので、一般民衆の受けも非常に良かったです。

一方で、念仏以外の行を否定しているため、当時の仏教教団からは強く非難され弾圧されていました。

いろいろな事件があった結果、最終的に法然は流罪(いわゆる追放)にあっています。

それだけ当時の民衆にとってわかりやすく画期的で影響力が強かったとも言えますね。

浄土真宗

浄土真宗を興した親鸞は、浄土宗の開祖である法然の弟子でした。法然が流罪になったとき、親鸞も同様に越後(新潟)に流罪されています。

法然の弟子でしたので、親鸞は法然が説いた念仏の教えこそ真実の教えであると考えていました。

浄土宗との大きな違いとして、浄土宗は「念仏をとなえること」自体に重きを置くのに対し、浄土真宗では信心に重きを置いています。

浄土真宗では、疑いなく信心が定まったとき、浄土へ往生することが定まると説かれています。

修行をすることができる僧侶(善人)に対し、修行ができない一般人である凡夫(悪人)こそが救われるとした「悪人正機」は教科書に載るほど有名です。

また、念仏をとなえることや信心も阿弥陀如来より賜ったものであるされ、絶対他力を主張しています。

ちなみに、「浄土真宗」という名称は、浄土宗からの反発もあり、最初は「一向宗(いっこうしゅう)」と呼ばれていました。浄土真宗という呼称は明治になってから正式に認められたものです。

融通念仏宗

  • 開祖:良忍(1072~1132)
  • 総本山:大念仏寺
  • 本尊:十一尊天得如来
  • 経典:『華厳経』『法華経』
  • 公式HP(大念仏寺)

融通念仏宗 の開祖である良忍は、念仏三昧中に阿弥陀如来より「一人一切人、一切人一人、一行一切行、一切行一行、十界一念、融通念仏、億百万編、功徳円満」という偈文を授かったとされています。

その「自他融通の念仏」に基づき、日常的に念仏を口でとなえることを勧めており、口でとなえる念仏を特に重要視しています。

自他融通とは自分一人がとなえる念仏が、他の人すべての念仏に融通することで交わる結果、功徳があるということを説いています。

時宗

  • 開祖:一遍(1239~1289)
  • 総本山:清浄光寺
  • 本尊:阿弥陀如来
  • 経典:『無量寿経』『観無量寿経』『阿弥陀経』
  • 公式HP(清浄光寺)

時宗の開祖である一遍は、浄土宗西山派の祖である証空の弟子です。ちなみに証空は浄土宗の開祖である法然の弟子です。つまり、一遍は法然の孫弟子にあたります。

一遍は浄土宗が説いている専修念仏を元に独自の道を歩みました。

時宗でも他の浄土系の宗と同じく「念仏をとなえる」ことが教えの中心になります。

他の宗派と大きく違う点は、念仏をとなえる際の礼拝の気持ちであったり、信心があるかどうかを問わないということです。

ただとなえるだけで浄土に往生することができると説いていることが大きな特徴です。

また時宗には踊り念仏という、念仏しながら踊るという特殊な念仏の方法も伝わっています。

禅系

臨済宗

  • 開祖:栄西(1141~1215)
  • 総本山:妙心寺・建仁寺など
  • 本尊:特定の仏ではなく寺院によって異なる
  • 経典:『般若心経』『金剛般若経』『楞厳呪』『観音経』
  • 公式HP(臨黄ネット)

禅は、精神統一を意味するサンスクリット語「禅那(ぜんな)」の省略形であると言われています。

禅は中国に広まっており、禅宗が栄えていました。栄西が仏教を学ぶために中国に渡り、日本に伝えたことよって広まることになります。

臨済宗では特定の総本山というのはなく、各お寺が本山として定められています。

禅系の宗派の特徴として、座禅を組んで精神統一をはかることが大きな特徴としてあげられます。

座禅を組み瞑想することによって、自己の内面を見つめ、悟りを開くことが目的です。

よくテレビで取り上げられる座禅は、禅系の宗派が行っているものです。

臨済宗では、悟りの境地は言葉では説明することはできず、師から弟子へ心を通じて伝わるものとされています。

臨済宗では公案と呼ばれる禅問答を修行に取り入れることも特徴です。

曹洞宗

  • 開祖:道元(1200~1253)
  • 総本山:永平寺・總持寺
  • 本尊:釈迦牟尼仏
  • 経典:『般若心経』 『観音経』 『修証義』
  • 公式HP(曹洞宗

中国に元々あった曹洞宗を道元が日本に伝えたことで始まったのが日本の曹洞宗の始まりです。

座禅を組んで悟りの境地を目指す点では、臨済宗と同じですが、座禅を組む際の心の持ちようが異なっています。

曹洞禅ではただひたすら座禅を組むということを重視し、悟りを求めない心で座禅を組むことによって、結果的に悟りを得るという修行方法を取ります。

黄檗宗

  • 開祖:隠元(1592~1673)
  • 総本山:萬福寺
  • 本尊:釈迦牟尼仏
  • 経典:『般若心経』『観音経』
  • 公式HP(臨黄ネット

基本的な教義や座禅の方法などは、基本は臨済宗と同じです

開祖である隠元は、日本の僧侶ではなく中国の僧侶で、来日した際に自らの中国禅の正統を主張し、臨済正宗として活動をはじめました。

本山である萬福寺は中国僧である隠元によって建立された歴史があるため、現在でも中国様式のお寺です。

元々は臨済宗の一派に属していましたが、明治政府の宗教政策に際に、独立し新しい宗派として分類されることになりました。

奈良仏教系

中国では仏教に対する学問的研究が盛んに行われていました。

そのような学問仏教は、奈良時代に中国から日本に伝わり、日本の様々なお寺で学ばれることになります。

学問の内容ごとに系統が分かれており、それぞれ三論宗、成実宗、倶舎宗、華厳宗、律宗と呼ばれ、合わせて南都六宗といわれていました。

当時は現在のように一つの寺で一つの宗というわけではなく、一つの寺で数種類の宗を学ぶことができ、今の大学のようだったと伝えられています。

しかし、いつしか一つの寺に一つの宗ということが定着し始め、その結果、弟子の奪い合いなどや他の学問を見下すことも起こったりと様々な問題が出てきます。

最終的に専門で学ぶ者がいなくなったところから衰退していき、伝統的な宗派として現在でも名前が残っているのは、法相宗、華厳宗、律宗のみとなります。

奈良仏教系に共通する大きな特徴として、学問派閥という傾向が強いため、葬儀を行うことはありません。

法相宗

  • 開祖:基(632~682)
  • 総本山:興福寺
  • 本尊:定めない
  • 経典:『成唯識論』
  • 公式HP(興福寺

法相宗は、唯識宗とも呼ばれ、唯識を専門に学んでいる学派です。

唯識とは、簡単に言えば「すべての事象は心の表れ」であるということです。

自身の心の構造を探究し、心の表れである現実世界の真実の姿(法相)を明らかにすることを目的としています。

宗派としては大きくありませんが、唯識という言葉を多くの人が聞いたことがあるように、学問としての唯識は基礎として他の宗派の多くの僧侶に学ばれています。

律宗

中国の律宗を鑑真が日本に伝えたことが始まりです。

僧侶についての規定や禁則事項が書かれた『四文律』を重視しており、読経より戒律を守ることを大切にしています。

華厳宗

  • 開祖:杜順(557~640)
  • 総本山:東大寺
  • 本尊:盧舎那仏
  • 経典:『華厳経』
  • 公式HP(東大寺

華厳経』を仏教の教典類の中で最高の経典として位置付けている学派です

『華厳経』に説かれる思想を根本として、教学を発展させてきました。

『華厳経』は大乗仏教を代表する経典ですが、その内容は難解で長い歴史の中で様々な解釈が生まれています。

『華厳宗』の教義を簡単にまとめることは難しいですが、「一即一切」「一はすなわち全てであり、全てはすなわち一つである」ということを基に教学を確立させ、多くの宗派に影響を与えました。

まとめ

仏教と一口にいってもその長い歴史の中で、多くの宗派が生まれ、また衰退していきました。

こうしてまとめてみてみると、それぞれの宗派によって大切にするものや、儀式のあり方が全然違ってくることがわかりますね。

※本記事の内容について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性を保証するものではありません。特に宗派や地域慣習によって大きく左右される事柄もございますし、個々人の宗教観によっても意見が違う場合も多々ございます。本記事の内容を参考にされる場合はあらかじめご注意ください。