テレビなんかでお線香をあげている場面等を見ると、お線香をまっすぐ立ててあげていることが多いですよね。
しかし、浄土真宗ではお線香を寝かせるのが正しい作法です。
本記事では、浄土真宗の正しいお線香の上げ方についてお坊さんが解説します。
- 浄土真宗ではお線香を寝かせるって聞いたけど本当?
- なぜ浄土真宗ではお線香を寝かせるの?
- 浄土真宗の正しいお線香のあげ方は?
他の宗派ではだいたいお線香を立てて上げることが多いように思います。しかし、浄土真宗がお線香を寝かせるのにはちゃんとした理由があります。
結論から言うと、浄土真宗では修行の時間を計るためにお線香をあげるわけではないからです。
詳しく解説していきます。
他の宗派では修行の時間を計るためにお線香が使用されていた
浄土真宗以外の宗派では、基本的にお線香は立ててあげていると思います。
なぜ浄土真宗がお線香を寝かせるのかは、後で解説しますが、他の宗派がお線香を立てているのは修行に関係します。
浄土真宗以外の宗派がお線香を立てるのは、お線香が燃え尽きる時間で修行する時間を計っていたからです。
砂時計のようにお線香を使っていたということですね。お線香を寝かせていたら燃え尽きたかどうか中を覗かないと見れません。
しかし、浄土真宗では修行の時間を計るためにお線香を使うといったことはしていません。
さらに、浄土真宗ではお坊さんはご門徒(信者)の代表であり、ご門徒と一緒に仏様の教えを一緒に聴いていくという位置付けになっています。
もちろんお坊さんなので、仏教の勉強をしなければなりませんし、仏事等の儀式を執行しますが、他の宗派が行っているような滝行や座禅等の修行を行うわけではありません。
お線香は焼香の簡易版
浄土真宗ではお線香を寝かせる理由としては、もう一つお線香を焚くのがお焼香の簡易版ということにも由来しており、元々の作法を伝統的に続けているからです。
お焼香をしたことが無いという方にも分かるように説明すると、お焼香では炭に火を付けて、その上に沈香(じんこう)という燃やすと香りがでる木片をパラパラとかけて香りを出しています。
昔はお線香というものが無かったので、沈香を燃やして香りを出すのが普通でした。
そして、炭は必ず左から火を付けるという作法だったのです。
また常香盤という沈香を一本の棒状に詰めて燃やしていたという慣習に由来してという説もあったり、線香を立てると倒れた時に火事になって危ないということであえて立てなかったという説明をされることもあります。
だから、お線香も火を付けた方を左に寝かせて今日まで使用されてきているんですね。
浄土真宗のお線香を焚く意味

他の宗派では、お線香をあげる意味は仏様にお線香の香りを届けたり、自分自身を清めるために使用すると言われています。
観光地のお寺なんかでは、本堂の入り口の所に何本もお線香が刺さっているのを見たことがあるという方も多いでしょう。
浄土真宗では、修行の時間を計ったり、仏様にお線香の香りを届けるためであったり、自身を清めるためにお線香を焚いたりするということはありません。
じゃあ、なんでお線香を焚くのかというと、浄土真宗でお線香をあげるのは、浄土の香りをいただくためです。
お線香を炊くことで、浄土を身近に感じるためです。
これはお線香をあげる場所を考えてみると分かり易いです。
- お寺の本堂
- 自宅の仏壇
- 葬儀会場
これらの場所でお線香をあげるのが一般的でしょう。
本堂やご自宅のお仏壇を見てみると真ん中に浄土真宗のご本尊である、阿弥陀如来の仏像や阿弥陀如来を表す「南無阿弥陀仏」と書かれた掛け軸が安置されていると思います。
そして、一様にその周りも金ピカではないでしょうか。
これは何を表しているかというと、本堂やお仏壇は阿弥陀仏がいる浄土の世界を表現しているんですね。
そして浄土はなんとも言えない良い香りが漂っていると浄土がどんなところか説いてある『阿弥陀経』には説かれています。
なのでお線香やお焼香をすることは、浄土の香りを表現しているということなんですね。
ここに浄土真宗のお線香の大きな特徴が表れていると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
浄土真宗の作法は、お線香に限らず他の宗派とは違った特徴が結構あります。
それは、浄土真宗の考え方の根本には「修行も満足に行えない煩悩まみれの自分が救われるにはどうしたら良い?」ということがあったりします。
ここでは詳しく説明しませんが、他の修行をする宗派とは作法や考え方が全く違ってくるんですよね。
考え方が180度違ったりするので混乱したりもしますが、浄土真宗のお線香の作法については以上です。