仏教に病気を治したりする力はあるのか?

重い病気にかかったとき、藁にも縋る思いで、病気が治るようにと熱心にお祈りしたりする方もいると思います。

もしかしたら仏教を信仰したら本当に病気が治った!という方もいらっしゃるかもしれません。

しかし本当にそういったことがあり得るのでしょうか?

本記事では、現役のお坊さんが仏教には病気を治すような力はあるのかということを解説します。

この記事で解決する疑問
  • 仏教に病気を治す力はあるのか?
  • 仏教には超常的な力があるの?

果たして仏教を信仰すれば病気が治ったり、良くなったりするのでしょうか?

結論から言うと仏教をいくら熱心に信仰したとしても、仏教によって病気が治ったりするということはありません。

また仏教に病気を治すような超常的な力もありません。

なぜなら仏教はそういったおまじないの類の教えではないからです。

しかし、仏教によって病気に対する見方が変わるということはあります。

どういうことなのか順を追って詳しく解説していきます。

目次

ブッダも病気で亡くなった

仏教で病気が治らないということは、仏教の開祖であるブッダ自身が証明してくれています。

実はブッダ自身も食中毒で亡くなっているのです。

え?仏教の開祖だったらなんか神秘的な力とかで治せるんじゃないの?と思われる方もいるかもしれません。

しかし、ブッダは僕たちと同じ人間です。僕たちには神秘的な力はありませんし、病気にかかって体力が尽きてしまえば死んでしまうのは同じです。

ブッダの最後は『涅槃経』というお経に描かれています。

ブッダは、信者の一人からいただいた食事が原因で食あたりを起こし、そのまま亡くなったと伝えられています。

つまり、唯一悟りを開いて仏の教えを説いたブッダでさえ、食中毒には勝てなかったというわけです。

仏教の開祖でさえ病気を治すことができなかったのだから、仏教を信仰することによって病気が治ったりしないということは明らかですね。

仏教で病気が治ったという話は?

仏教によって病気が実際に治ったという話を耳にしたことがあるかもしれません。

日本では昔から病気を治すためだったり、災厄が起こった時、それらを鎮めるために加持祈祷を行ってきたという歴史があります。

その加持祈祷と仏教が結びついて、仏教を信仰すれば病気が治るといった話が出てきたのだろうと思います。

しかしながら、仏教で病気が治るというのは眉唾物であるということは上で言ったとおりです。もしそういう人がいたら注意してください。

もし治ったとすれば、それは仏教の教えを信じたから治ったのではなく、その人自身の免疫によるか、またはお医者さんから処方された薬によって治っただけのことです。

仏教を信仰することによって、心が穏やかになったり、生きていこうという気力が湧くのは一面ではありますが、仏教が病気を治す直接的な原因になることはありません。

仏教は病気に対する見方を変えてくれる

仏教は病気を直接治すようなご利益があったりということはありませんが、何の役にも立たないかというとそういう訳ではありません。

なぜなら仏教は病気に対する見方を変え、病気であってもそれに悲観せず生きていく力を与えてくれるからです。

病気がなぜ苦しいのかというと、もちろん痛みであったりはもちろんのことですが、自分の体なのに「思い通り」に出来なくて苦しむということがあると思います。

人間はなんでも「自分の思い通りにできる」「自分の思い通りにしたい」と思って生きています。

しかし病気は、思い通りにできないことの主な例の一つですよね。

いつ病気にかかるかは予想できませんし、どんなに清潔にしていても、健康に気を使っていても病気になるときはなってしまいます。

さらに病気を薬等で治せると思っていても、急に症状が悪化してしまうかもしれません。

思い通りにできない=苦

この「思い通り」に出来ないということを仏教では「苦」と表現しています。仏教の「苦」は痛くて苦しいというのとはちょっと違います。

仏教は結構誤解されていたりしますが、どこまでもこの「苦」の原因はなんなのかということを徹底的に掘り下げていき、苦についてどう対処していくかという教えです。

だから、おまじないとかそういったものではなく、哲学に近いと言った方がよいかもしれませんね。

要は仏教は物事の考え方、思考方法と言ってもよいかもしません。

だから仏教によって思い通りにできないということに気づくということは、そのことを通して自分が病気であるということを受け入れることが出来るようになるというのが一面としてあります。

自分が病気にかかるのはあり得ないと思っていても病気になる。その当たり前のことに気づかせてくれるというわけです。

仏教の教えは以下のようなことに近いかもしれません。

  • 大病を患って、初めて世界の美しさに気づいた
  • 生死の境をさまよって人生観が180度変わった

どちらも病気が治ることには触れずに、病気が縁となって見方が変わった例です。

ありのままを受け入れる

仏教でいう悟りも病気を直接的に治すのではなく、見方の転換をもたらし、物事をそのまま受け入れることができるようになるということなのだと思います。

そのまま受け入れるというのは諦めるのとは違います。諦めてしまったら人生を歩んでいくことなんてできないですからね。

仏教はそういったどんな目に合おうとも、どんなに恵まれていなくても一歩一歩歩んでいける力が与えられる教え、現代の言葉で言えば処世術のようなものです。

実は仏教ってとても現実的な教えでもあるのです。

ブッダも、信者からいただいた食事に当たって亡くなっていますが、病気であるということをそのまま受け入れ、原因となった食事をくれた信者を決して責めるなと周りに説き伏せていました。

このエピソード自体が仏教がどういった教えなのか象徴的に表していますね。

まとめ

以上、仏教が病気を治すことができるかどうかということを解説しました。

仏教は病気を治すような、超常的な力があるわけではありませんが、病気に対する見方を変えてくれます。

※本記事の内容について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性を保証するものではありません。特に宗派や地域慣習によって大きく左右される事柄もございますし、個々人の宗教観によっても意見が違う場合も多々ございます。本記事の内容を参考にされる場合はあらかじめご注意ください。

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